新しい技術革新の波 4

例えばマイクロエレクトロニクスの分野のように、小さく小さく、薄く薄く、軽く軽くという方向に動いています。


もう10年以上も前のことですが、松下電器に見学に行って驚いたことがあります。


超LSI関連の小指の爪の半分ぐらいの大きさのものでしたが、そのなかに回路が組み込まれているとのこと、もちろん肉眼では見えません。


案内してくれた技術屋さんは、「この回路を造るには、昔の真空管だと50万個ほど必要になる」といっていました。


真空管50万個というと、ちょっとした部屋いっぱいぐらいになるでしょう。


それが小指の爪の半分ぐらいに入るのですから、大変なことです。


・・・今、ミクロン単位の作業は珍しくありません。


1ミクロンというと1000分の1ミリですから、目に見えないほこりよりもはるかに小さいのです。


・・・小さく小さく、軽く軽く、薄く薄く、です。


この軽薄短小化がもたらす影響もきわめて大きいのです。


例えば、産産業立地もすっかり変わるでしょう。


今までは重厚長大型であったから、大量の重いものを経済的に輸送できる輸送機関が絶対に必要であり、それがなければ産業の発達は考えられなかったのです。


大量の重いものを最も経済的に運ぶのは船です。


・・・したがって、立派な港があることが産業立地には欠かせなかったのです。

新しい技術革新の波 3

計算したり識別したりしながら、機械を操作する人間が必要です。


ところが、計算したり識別したりするのも機械がするということになると、人間が要らなくなります。


いわゆるオートメーションといっても、これまでの部分の自動化ではなく全面自動化、トータル・オートメーションとなります。


工場ではファクトリー・オートメーション(FA)、つまり工場が無人化します。


今、一番注目されているOAはオフィス・オートメーション、つまり事務所の無人化です。


生協のなかでもそれが広がり始めています。


軽薄短小型次に、今までの技術革新の中心は重厚長大型でした。


非常に大量の資源を使って、大量のものを造って、量で勝負するというふうなものが先端産業の中心になってきていました。


鉄鋼、造船、石油化学などがそうです。


ところが今の技術革新で中心になってきているような産業というのは、総じて軽薄短小型です。


ここに第二の特徴があります。

新しい技術革新の波 2

今日の技術革新は、ただ時間的に新しい革新の波というだけではありません。


内容に、今までにはなかったような新しいいくつものものが目立ちます。


第一の特徴は、今までの技術革新はだいたいにおいて、人間の手足の動きが機械化あるいは自動化され、それによって人問がする何十倍、何百倍も効率が上がるといったものでした。


しかし今、進んでいる技術革新は、そういう面もありますが、人間の手足の働きというよりも、一つには人間の頭の働きを機械がするようになってきた点にあります。


「頭脳型」のものです。


また、見る・聞く・嗅ぐといった、人間のさまざまの五感の働きも機械化されてきています。


・・・いうならば「感覚型」です。


今日、センサーといわれているものはすべてそうしたものです。


つまり、今日の技術革新の中心をなしているのは、頭脳・感覚型の技術革新です。


これがもたらす影響は決定的だといえるでしょう。


なぜなら、手足の働きが機械化し自動化するのであれば、自動化といっても、あくまでも部分の自動化に過ぎず、その機械を動かす人間が絶対に必要です。

新しい技術革新の波

最初のものは今から200年余り前、イギリスが震源地となった産業革命です。


このときには、紡績や紡織のような軽工業の技術に革命的な革新が進み、動力機に蒸気機関が使われるようになりました。


第二の波は、それから100年ほど後の1870年代以降、ちょうど日本の明治維新前後からの波です。


その震源地は今度はドイツで、このときは重工業ことに鉄鋼生産の技術が革命的に進みました。


それとともに、精度の高い機械が次々とできるようになり、電力の利用も始まるという画期的なことが行われました。


第三は第二次大戦直後、1950年代から60年代にかけての波です。


今度は、最も大きな震源地はアメリカに移り、その技術革新の中心は、石油化学や合成繊維のような高分子化学、それから電子工学の領域でした。


いわゆるオートメーションが始まるのもこの時期からです。


動力関係では原子力の利用が始まりました。


そして今日の技術革新です。


・・・これは、ですから「第四次産業革命」といっていいでしょう。

曲り角にきた1970年代 2

最近は石油価格が下がっていますが、これは一時的な需給関係の乱れから起こっているだけです。


石油という資源は近い将来なくなることがはっきりしており、自動車のエネルギーも全然別のものを使うことになるでしょう。


ものが少なくなると、その価格が上がるのは当然のことです。


このときに、それまでの日本の高度経済成長の牽引車であった重厚長大型産業の運命は決まったといってもいいのです。


資源価格が上がると、資源を猛烈に使って"量"で勝負するような産業は、日本のように資源のない国では、苦境に陥ることは明らかです。


鉄鋼とか石油化学といった高度成長期の花形産業は、今ではほとんどが低迷していますが、それはその時点で決まったといっていいでしょう。


自然から人間に置かれてくる制約を克服しようとすると、問題となってくるのは技術です。


ご承知の通り、この技術が最近ものすごく変化し、新しい技術革新の波が急激に高まってきました。


1980年頃からのことです。


大きな革命的な技術革新のことを産業革命といいますが、そうした産業革命の波が、これまで少なくとも三度ありました。

曲り角にきた1970年代

前回のべたようなことは、時代の転換を示す一つの兆しでした。


それから3年後の1973年には第一次の石油危機が起こりました。


オイルショックは資源問題です。


なぜなら、石油という資源が底をつくことがはっきりし始める事件であったからです。


石油資源に限界が見え始めたので、石油を持っている国が急に強くなりました。


アラブの国々が自分の持っている石油を背景にして、これをイスラエルとの戦争の道具に使ったのがことの始まりです。


1973年10月のことでした。


それから6年後、第二次石油危機がイラン事件(イスラム革命)に関係持っている国が急に強くなってきました。


しかし、これは石油だけのことではありません。


石油ショックという形で表面に出てはきましたが、ある意味では「資源ショック」といっていいものでした。


石油だけではなく、あらゆる資源がそうなってきたのです。


・・・環境とともに資源もまた、自然の限界にぶつかり始めたわけです。


生活基盤の変化と自然の限界

化石燃料を燃やせば、再生産不可能な石油や石炭を食い潰すというだけではなく、炭酸ガスが出ます。


酸素が減ります。


・・・むろん、これは山野の草木がある程度までは浄化してくれますが、ある限度を越えると増えるばかりです。


しかもそれは、生産量と同様に加速的に増えていきます。


そして炭酸ガスの増加は、今ではすでに自然浄化の限度を越えてしまっているといわれます。


ですから、なにかを燃やすとなんらかの公害を出して、マイナスの要素を加えることになります。


・・・こうして人類は、資源と自然環境において自然の限界にぶつかってきました。


日本では、これは1970年前後から非常に明瞭になってきます。


1970年、昭和415年というと、日本では、戦後の素晴らしい高度成長を祝うフェスティバルのような行事だった万国博覧会が大阪・千里ガ丘で開かれていました。


しかし、その同じ年に、日本のジャーナリズムはいっせいに反公害キャンペーンも始めます。


どのように大気や海が汚染されているかを、これでもか、これでもか、というように書き立てたのです。


この公害は高度成長の暗黒面です。


ですから、1970年は、とくに日本において、高度成長の明るい面と暗い面がくっきりと浮かび上がった年なのです。

西洋の時代の終わり 2

今日の転換は単なる転換ではなく、人類史的な大転換だといってもおかしくはないでしょう。


実際、今日、わたしたちの立っている生活の地盤そのものが急激に変わってきています。


以下にまとめてみましょう。


まず、自然の状態がすっかり変わってきています。


自然資源一つとってみても、生産が加速的に増大するということは、資源の消費量も加速的に増えるということであり、資源は有限ですから、この過程はいずれ自然の天井にぶつかります。


しかもそれは、だんだんぶつかるのではなく、急にぶつかることになります。


もう一つ重要なことは、環境汚染の間題です。


環境汚染、いわゆる公害です。


あるものを生産すると必ずなんらかの破壊を伴います。


「そんなことはない。ウチはものを造ってもなにも環境を汚染していない」


・・・という人がいるかもしれません。


しかし、少なくともエネルギーは使うはずです。


ところが現在、エネルギーはほとんどが石油、石炭のような化石燃料を燃やして手に入れるのです。

西洋の時代の終わり

第二次大戦の最も重要な結果の一つは、かつての植民地時代が完全に過去のものになってしまったことです。


かつての植民地、半植民地はみな次々に独立しました。


日本は負けたけれども、ある意味で、わたしたちが素朴に考えていたことが実現したともいえるでしょう。


マレー半島、ビルマ、そしてインドもイギリスから独立し、インドネシアはオランダの支配を脱し、インドシナ半島はフランスのくびきを断ち切り、また中国はもちろん「中国人の中国」をうちたてました。


アフリカ地域もそのようになりました。


つまり、植民地時代は終わったのです。


日本もそれに便乗しましたが、植民地時代は西欧の世界支配の典型的な現象だったはずです。


第二次大戦の後、世界のヘゲモニーはアメリカが握ってきましたが、そのアメリカの力も、後で述べるように、最近は大きくゆらいでいます。


今日、世界的に見ると、経済、産業が急上昇で伸びているのは太平洋地域、それも東アジア地域です。


大西洋の周辺はもう完全に停滞の状態に入っています。


「大西洋の時代」は終わって「太平洋の時代」が始まっている、というふうにいう人もいます。


・・・以上、近代という時代を特徴づけてきた3つの要素のすべてが今は崩れています。

屋久島の民話 2

あくる朝、夜が明けるのを待って、彦一はツガの木のてっぺんに登って、ミソコシを縦にすかしたり横にすかしたりして見ながら、


「うあっ、あ江戸が見えた。うあっ、西京が見えた。うあっ、くらまが見えた。こらあもしょかど」


といかにもおもしろそうに、大声で叫びました。


すると、


「あい、そこのツガの木にあんもんなだれか」


と天狗の声です。


それを聞いても彦一は知らんふりをして、やっぱりミソコシを縦にし横にし、おもしろそうに叫んでいたら、天狗がツガの木の真下まで来て、


「あい、わやなんちゅうもんか。」


「あいか。あや彦一というもんじゃ。」


彦一はそれからまたミソコシをすかして、


「うあっ、くらまが見えた。うあっ、カラス天狗が見えた。うあっ、鼻高天狗が見えた」


と叫びますので、天狗は見たくてたまりません。


「彦一、わいがミソコシをあいにゆずってくえんか。」


「話によっちゃ、ゆずってもよかが。」


「いけんすっとか。」


「天狗さんのかくれ笠かくれみのとかえてくれればミソコシをやんが。」


「そんたでけん。」


「そいじゃこっちもでけん。」


「そいじゃ、いっときかえてみろう。」


そこで、天狗がかくれ笠かくれみのを彦一に渡して、


「ほら渡したから、そのミソコシをやれ。」


「いや、かくれ笠かくれみのをどげんして着んもんか、着てみらんと渡しはならん。」


こういって彦一は、こっちの緒をしめ、あっちの緒をしめして、天狗から着方をあしえられて、すっかり着終ったところが彦一の姿は見えんようになりました。


「あい彦一。」


「あい。」


「ミソコシを渡せ。」


「あい。そらっ。」


ミソコシが天狗の足もとにひょいと飛んで来ました。


天狗は大喜びで、ヅガの木のてっぺんに登ってミンコシをすかして、右を見、左を見してみましたが、見なれた屋久杉の御岳とシャクナグの山が見えるばかりで、江戸も西京もくらまも少しも見えません。


「ああい、彦一、あ江戸も西京もくらまもなんも見えんが。」


「ああ、そんた人間が見いもんじゃから、天狗は見えんとじゃ。」


天狗は彦一にまんまとだまされて、


「うう、彦一、だましたか。」


地だんだふんでくやしがり、カンカンに怒りましたが、彦一の姿は見えず、どうすることもできません。


「あはははは。かくれ笠かくれみのはもろたよ、天狗どん。あはははは。」


彦一は高笑いの声だけを残して、山をどんどんありてしまい.ました。


彦一が天狗からぶんどってきたかくれ笠かくれみのは、宮之浦の二才どもの手をへて、薩摩の殿さまに上げたら、殿さまはたいそう喜んでたくさんの賞品をくれましたそうじゃ。


かくれ笠かくれみのが今にないところをみると、火事にでもあって焼いてしまいましたとじゃろ。


・・・


屋久島ツアーでも人気の屋久島の民話、『かくれ笠かくれみの』でした。


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